記者クラブ。貴者クラブ。

昨日はずっと twitter の検索窓に「記者クラブ」って入力して、私の知らない人たちがどんなことをつぶやいているのか見てた。その中で、私に「あれ?」と思わせる書き込みがいくつかあったので、一個だけ取り上げてみる。

記者クラブ解散って嘘だったのかよ>民主党

私は民主党が「記者クラブを解散させます」って言ったのは聞いたことが無いんだけど、どうなんだろう。


そもそも記者クラブって、「特定の報道機関の記者が構成する組織」*1らしいので、民主党がそうそう簡単に「今日から記者クラブを解散させます」とは言えないんだと思う。もしそれが出来てしまうなら、あなたとあなたの友人が作ってる「毎週土曜日はミープの家でラブプラスやろうぜ会」の存亡も、鳩山総理の胸先三寸*2ってことになっちゃうし。そんなことはあり得なさそう。


民主党がこれまでやってきたこと、言ってきたことは記者クラブに入っていない記者にも、会見に来てもらうことを許す。質問してもOK」って立場だと思う。


これを知って、「えー、マスゴミ記者クラブぶっ壊さねぇのかよ、つまんねー」って思う方もおられるかもしれませんが、記者クラブに入っていない記者にも、会見に来てもらうことを許す。質問してもOK」という方針は、実は爆弾です(記者クラブの内部にいる者にとっての爆弾ね)。政府がこの方針をとり続ければ、記者クラブは崩壊します。


なんでそうなるのか、ってことについては、神保哲生さんの『なぜ記者会見がオープンでなければならないのか』という記事にまとまってるのでどうぞ。(神保さんは英語得意なので、preferred access とか privileged access という英語を出しちゃうけど、そこで挫折しないで最後まで読んであげてね。英単語は脳内フィルタで濾しちゃっても意味は通じるから。)

なぜ記者会見がオープンでなければならないのか - http://www.jimbo.tv/
http://www.jimbo.tv/commentary/000573.php

先生と生徒の例

先生と生徒の例で、記者クラブをたとえてみる。先生が政府。生徒が記者とか国民とか、その他大勢。

先生(政府)は、みんなに良いオトナになってもらいたいので毎日授業をしてる。


だけど、生徒の中のある数人が「先生のくせに漢字を読み間違えるとは、教育者としての資格に欠けるのではないか」とか言ってくる。メンドクサイ生徒だ。


「昨夜、隣のクラスの担任の○○先生と一緒にホテルから出てきた気がするのだけど、あれはあなたか?」とか、授業と関係のない話ばっかりしてくる。むかつく。私のプライベートの写真とかもってくんな。


困った先生は、その鋭い質問をしてくる生徒ら数人を呼び出してこう言います。


「あなたたちはとてもお行儀がよい生徒です。クラスの中でも一番貴い存在です。ですから、あなたたちを『貴者クラブ』と認めます。貴者クラブのメンバーには、定期テストの問題をこっそり教えてあげるので、これからもお行儀よくしてくださいね。」


以来、先生は下らない質問で授業の邪魔をされることがなくなりました。『貴社クラブ』のメンバーも、テストでいい点数が取れるのでハッピーです。


めでたしめでたし。かな?


かわいそうなのは、貴者クラブに入れなかった普通の生徒たちだ。


鋭い質問をする生徒が、「先生、それは『みぞうゆう』ではなく『みぞう』と読むのではないですか!」と指摘するのをやめてしまったため、先生が時々やらかしてしまう間違いを、そのまま覚えてしまう始末。


貴者クラブに入っていない生徒が「あのー先生、その漢字の、読み方なんですけど・・・・・・」と発言しようものなら、貴者クラブメンバーの生徒が「きみ、授業中なのだから不規則発言は慎むべきではないか。先生が困っておられるぞ。」と偉そうに注意してきやがる。


どうやら貴者クラブに入っていない生徒には、このクラスでの発言権はなさそうだ。


この例では、先生がこっそり一部の生徒にだけテストの問題を見せている、ってのが preferred access(優先的アクセス)とか privileged access(特権的アクセス)ってやつ。実社会の例で言うと、懇談とか、夜討ち朝駆けで記者が持ってくる匿名の記事。「政府高官がこう言った」とか「○○議員に近い者の話では」とかそういうやつ。


こういう特権というものがあると、特権を与える側と受け取る側が、どんどん gdgd な関係になっていく恐れがある。癒着ってやつ。鋭いツッコミを入れない代わりに、おいしい情報を独占させてね、という感じの。


問題は、鋭い突っ込みを入れる能力を一番持っているはずの生徒が、大事なところで黙り込むことで、その問題がなかったことになっちゃうこと。ボーっとしている大多数の生徒は、先生がやらかした漢字の読み間違いに気づくことはなかなか出来ない。


ボーっとしてない生徒は、授業中にも関わらずこっそり携帯でメールまわし合うしかないのよね。

*1:記者クラブ - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%e8%a8%98%e8%80%85%e3%82%af%e3%83%a9%e3%83%96

*2:はい、誤用ですね。「胸三寸」か「胸先三寸」か? 敬語の使い方、漢字・四字熟語・ことわざ・慣用句・外来語の意味、文法・語彙が身につく日本語教育サイト『毎日1問!日本語ドリル』 http://www.mainichikoaki.com/2008/06/post-32.html